アセタールの生成

アルデヒドまたはケトンは酸触媒の存在下で2当量のアルコールと可逆的に反応してアセタールを生成します。アセタールは$$\rm R_2C(OR’)_2$$の一般式で表される化合物です。

例としては以下のような反応があります。

また、アセタールの生成の詳しい反応機構は以下の通りです。

アセタールの生成のすべての段階が可逆反応です。実際には水と生成と同時に分留すると平衡はアセタール側に、アセタールを大過剰の酸水溶液と反応させると平衡はアルデヒドまたはケトンの側に平衡が進みます。つまり、反応条件を変えることによって平衡をどちらにもすすめることができるのです。

この特徴をいかして、保護基の導入に用いられることもあります。保護基は反応させたくない部分を不活性なもので保護しますが、保護が終わったらまた脱離させて元の物質に戻す必要があります。そのため、可逆反応であり、生成物がエーテル(酸開裂以外の反応、例えば塩基、ヒドリド還元剤、Gridnard試薬などとは反応しない)であるこの反応は保護基の導入に適した反応です。

例えば、オキソペンタン酸エチルを5-ヒドロキシ-2-ペンタノンにしたい場合を考えます。


仮に、LiAlH4で処理するとケト基とアセチル基が両方存在するために以下のようになってしまいます。

このような場合に、ケト基をヒドリド還元剤に不活性なアセタールに変え、保護する事ができます。


参考:マクマリー有機化学 中 第8版 p710~p712

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