ニトリルは酸性または塩基性の水溶液中で加熱することで加水分解されて、カルボン酸になります。しかし、いきなりカルボン酸になるわけではなく、アミドを経由します。ニトリル→アミドまでの塩基性条件下における反応機構は以下の通りです。(酸性条件での加水分解は省略)
tautomerizationとは互変異性のことです。ここではヒドロキシイミンとアミドの互変異性が起こっています。
次に、この後に引き続いて起こるアミドの加水分解もニトリルと同様に、酸水溶液または塩基性水溶液中で加熱することで進行します。
まずは酸性条件下の時です。
次に塩基性条件下の時です。
これは一般的なOHーの求核付加によって起きます。この反応は各段階が可逆的ですが、最後のカルボン酸の脱プロトン化の平衡が生成物側に偏っているので、反応は進行します。しかしアミドイオンは非常に劣った脱離基であるため、酸性条件でのアミドの加水分解よりは困難な反応です。
参考:マクマリー有機化学 中 第8版 p744,p755,p768~p760, p805~p807