ボルン-ランデの式の導出

電荷が$+e$のカチオンAと電荷が$-e$のアニオンBとが互い違いに等間隔$d$で直線状に並んでいる一次元の結晶において、あるカチオンのクーロンポテンシャルエネルギーは、
$$V=-\f{2e^2\ln 2}{4\pi ε_0d}$$と書けます。すべてのイオンの寄与を1 molあたりで考えると、このポテンシャルエネルギーにアボガドロ数$N_{\rm A}$を掛け、2で割れば良いことになります(各相互作用を2回数えることを避けるためです)。

つまり、
$$V=-\f{N_{\rm A}e^2}{4πε_0d}×α$$となります。
1 molあたりの全ポテンシャルエネルギーはイオン間の反発相互作用も含む必要があります。これは、$Be^{-\f{d}{d^*}}$の形で表される短距離型の指数関数を考えてモデルを作ることができます。ここで、$d^*$は反発相互作用の働く範囲を決める定数、$B$は相互作用の大きさを決める定数です。相互作用の全ポテンシャルエネルギーは1 molあたり、
$$V=-\f{N_{\rm A}e^2}{4πε_0d}×α+Be^{-\f{d}{d^*}}$$
となります。このポテンシャルエネルギーは$\f{\d V}{\d d}=0$のとき最小となります。よって、
\begin{eqnarray}
\f{\d V}{\d d}&=& \f{N_{\rm A}e^2}{4 \pi ε_0d^2}×α-\f{B}{d^*}e^{-f{d}{d^*}}=0\\
Be^{\f{d}{d^*}}&=&\f{N_{\rm A}e^2d^*}{4πε_0d^2}×α \\
これを&、& \\
V&=&-\f{N_{\rm A}e^2}{4πε_0d}×α+Be^{-\f{d}{d^*}}\\
に代入すると&、& \\
V&=&-\f{N_{\rm A}e^2}{4πε_0d}\s{1-\f{d^*}{d}} ×α \\
\end{eqnarray}
となります。$-V$が格子エンタルピー(厳密に言えば、T=0の格子エネルギーのことですが、常温においてはほぼ一致しているとみなせる)となることを考慮すれば、1価のイオンに対するボルン-マイヤーの式が得られます。他の価数への一般化は価数を増やせばよいだけです。

イオン間の反発相互作用に異なる表現を用いれば、この式は別の形に書き換えることができます。その例として、反発力を$\f{1}{r^n}$で表す方法です。一般に$6<=n<=12$という値が用いられます。
この表現を採用した場合、
$$V=-\f{N_{\rm A}e^2}{4πε_0d}\s{1-\f{1}{n}}×α$$というように書き表すことができます。これはボルン・ランデの式と呼ばれるものです。
ボルン・マイヤー式はこのボルン・ランデの式に実験データと最もよい一致を示すように$d^*=34.5 [{\rm pm}]$を代入したものです。通常用いられるのは、この半経験的な式であるボルン・マイヤーの式です。

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