ネルンストの式を用いて電池の起電力を求める

半反応の電位は、半反応を構成する物質の濃度によって変化するということを標準酸化還元電位のところで書きました。そのため、標準酸化還元電位はすべての構成物質が標準濃度(溶液なら1mol dm-3 気体なら1atm)の状態で得られた電位を測ったものとなります。

しかし、標準濃度以外の濃度における半反応式の電位が必要になる場合がほとんどです。

そのときに使うのが、ネルンストの式です。

ネルンストの式は以下のような式です。
$$p{\rm Ox} + ne^- ⇄ q{\rm Red}のような半反応式において$$$$E=E\stst+\f{0.059}{n}\log{\f{[{\rm Ox}]^p}{[{\rm Red}]^q}}$$ここで、
$E$は求めたい電位
$E\stst$は標準酸化還元電位
$\rm Ox$は酸化体、$[\rm Ox]$は酸化体の濃度
$\rm Red$は還元体、$[\rm Red]$は還元体の濃度
で、$\log$は常用対数です。(つまり底が10)
また$\rm Ox や Red$が固体(金属や沈殿など)や溶媒(水など)の場合は、$\rm [Ox] や [Red]$は1であると約束すると定められています。

このネルンストの式により、任意の濃度の半反応式の電位はこの式で求められることができます。
と、同時に、任意濃度の電池の起電力$ΔE$も
$$ΔE=E_{正極}-E_{負極}$$であるので、
求めることができます。

以下の例題でそれを確認します。

【例題】
  以下の電池(ボルタ電池)における起電力を求めよ。
$$-  \rm Zn|Zn^{2+}||Cu^{2+}|Cu +$$ ただし、
$$[{\rm Zn^{2+}}]=1.0×10^{-4}{\rm mol/dm^{3}}\\
[{\rm Cu^{2+}}]=1.0×10^{-2}{\rm mol/dm^{3}}\\
{\rm Zn^{2+}+2e^-⇄Zn}:E\stst_{{\rm Zn}^{2+}/{\rm Zn}}=-0.76[{\rm V}]\\
{\rm Cu^{2+}+2e^-⇄Cu}:E\stst_{{\rm Cu}^{2+}/{\rm Cu}}=+0.34[\rm V] $$とする。

【解答】
正極と負極では以下の反応が起こっている。
$$\rm 正極:Cu^{2+}+2e^-⇄Cu\\
負極:Zn^{2+}+2e^-⇄Zn$$

※ここではあえて平衡として表しています。 $$\rm 正極: Cu^{2+}+2e^- → Cu\\
負極:Zn → Zn^{2+}+2e^-
$$でもいっこうに構いません。

しかし、標準酸化還元電位に対応する半反応式は還元反応として記載するように国際的に定められているので、そちらに合わせました。

よって、
\begin{eqnarray}
ΔE&=&E_{正極}-E_{負極} \\
&=&(E\stst_{正極}+\f{0.059}{2}\log{\f{[\rm Ox]}{[\rm Red]}})-(E\stst_{負極}+\f{0.059}{2}\log{\f{[\rm Ox]}{[\rm Red]}})\\
&=&(E\stst_{{\rm Cu}^{2+}/{\rm Cu}}+\f{0.059}{2}\log{\f{[\rm Cu^{2+}]}{\rm Cu}})-(E\stst_{{\rm Zn}^{2+}/{\rm Zn}}+\f{0.059}{2}\log{\f{[\rm Zn^{2+}]}{[\rm Zn]}})\\
&=&(+0.34+\f{0.059}{2}\log{(1.0×10^{-2}}))-({-0.76+\f{0.059}{2}\log{(1.0×10^{-4}}}))(\because [{\rm Zn}]=[{\rm Cu}]=1(固体は1と約束する。))\\
&=&1.16
\end{eqnarray}
であるので、
$ΔE=1.16{\rm V}$となる。

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