一塩基酸の弱酸とその強塩基塩からなる混合溶液のpH

$$\newcommand\h{{\rm [{H^+}]}}
\newcommand\a{\rm [A^-]}
\newcommand\ha{\rm [HA]}
\newcommand\ka{K_{\rm a}}
\newcommand\kw{K_{\rm w}}
\newcommand\ca{c_{\rm HA}}
\newcommand\cb{c_{\rm NaA}}
\newcommand\oh{\rm [OH^-]}
\newcommand\na{\rm [Na^+]}
\newcommand\ph{\rm pH}$$

酸解離定数$\ka$の弱酸を$\rm HA$と置き、
仮に、塩基塩として、$\rm NaA$が加えられているとすると、溶液中では
$$\rm HA⇋H^+ + A^-$$
$$\rm H_2O⇋H^+ + OH^-$$
という平衡と、
$$\rm NaA→Na^+ + A^-$$
という反応が成り立つ。
酸解離定数の定義より、
$$\ka=\f{\h+\a}{\ha}\tag{1}$$
水のイオン積の定義より、
$$\kw=\h+\oh\tag{2}$$
電荷均衡を考えると、
$$\na+\h=\a+\oh\tag{3}$$
質量均衡を考えると、
$$\ca+\cb=\ha+\a\tag{4}$$
$$\na=\cb\tag{5}$$
このとき、$(1)~(5)$式の5式に対して、未知濃度が$\na,\h,\a,\oh,\ha$の5つなので、すべての濃度を計算で解くことができる。
$(3)と(5)$式より、
$$\a=\cb+\h-\oh\tag{6}$$
であるので、この式を$(4)$式に代入すると、
$$\ha=\ca-(\h-\oh)\tag{7}$$
$(6)と(7)$式を(1)式に代入すると、
$$\ka=\f{\h{\cb+(\h-\oh)}}{\ca-(\h-\oh)}\tag{1′}$$
が得られる。ここで、もし$\ca>>|\h-\oh|$かつ、$\cb>>|\h-\oh|$ならば、$(1’)$式は
$$\ka=\f{\h\cb}{\ca}$$
である。これを変形すれば、
$$\ph=\rm p \ka + \rm log (\f{\ca}{\cb})$$
となる。この式は、ヘンダーソンーハッセルバルヒの式として知られ、この式は$\ca$と$\cb$が$\sqrt{\kw}$とぐらべて大きければ常に成り立つ。

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