アルケンのヒドロホウ素化-酸化

ヒドロホウ素化-酸化はアルケンの二重結合炭素のうち、置換基の少ない炭素の方に水を付加させたい場合に用いる反応です。

まず、電子豊富なC=C二重結合がホウ素の空の$p$軌道に電子を押し込みます。このとき、水素はC=C結合に移動します。このとき重要なのは、ホウ素は置換基が少ない方の炭素と結合することです。
そして、この反応は通常BH結合が残っていると繰り返し起こり、アルケンと$\rm BH_3$の場合は、普通トリアルキルボランが生成します。

次に、アルキルボランと「過酸化水素と$\rm NaOH$の混合物」を反応させます。
過酸化水素は$\rm NaOH$と混合するとヒドロペルオキシド$\rm HO-O^-$を生成します。この負電荷を持った酸素がホウ素のからの$p$軌道に攻撃し、四面体型のホウ素アニオンができます。

そして、このアニオンは不安定ですぐに分解します。
弱いO-O結合が切れて$\rm HO^-$を失い、ホウ素に結合したアルキル基の1つが$\rm B$から$\rm O$に移動してホウ素原子の負電荷を失って、ホウ酸エステルになります。
最後に水酸化物イオンがホウ酸エステルと反応して、$\rm B$を除去し、さらに生成物がプロトン化されるとアルコールになります。

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