カルボニル基を除去する方法には3種類ほどあります。
1.チオアセタールの脱硫黄・水素化
$\rm C-O$結合は強いですが、$\rm C-S$結合はずっと弱く、Raneyニッケルにより容易に還元できます。つまり、アルデヒドやケトンのカルボニル基は、アセタールの硫黄類似体であるチオアセタールに変換すればRaneyニッケルを使って除去することができるということです。
ジチオールとLewis酸触媒を用いれば、チオアセタールを合成できます。
新しく調製したRaneyニッケルは$\rm H_2$を十分量保持し、水素を加えなくてもチオアセタールを還元できます。
2.Wolff-Kishner 還元
この反応は少し過激な反応条件が必要です。
ヒドラゾン(カルボニル化合物とヒドラジン$\rm H_2N-NH_2$との反応によって得られる誘導体)から窒素ガスが脱離して進行します。熱濃水酸化ナトリウム水溶液中かヒドラゾンから水素がプロトンとして引き抜かれ、$\rm N_2$の脱離に伴い、アルキルアニオンが生成し。すぐに、水によってプロトン化されることによりカルボニル基が除去されます。
3.Clemmensen還元
この方法はこの3種のなかで最も操作が簡単です。この方法もかなり過激な反応条件を必要としますが、官能基が一つしかない場合はとても有用です。この方法では金属亜鉛を濃塩酸中に溶解させながら反応させます。$\rm Zn$が溶解することで放出される2つの電子により$\rm C=O$が還元されます。
このClemmensen還元は溶解金属還元として知られている種類の還元の一つです。溶解金属還元は金属水素化物や接触水素化とことなる第三の形の重要な還元反応です。
参考)
ウォーレン有機化学 上 第二版 p553~p555