アルデヒドとケトンは酢酸溶液中で臭素と反応し、αハロゲン化が起こりました。
しかし、カルボン酸はアルデヒドやケトンほどの反応性がないため、ただ、その条件では反応しません。Br2に加えてPBr3が必要になります。これらを用いた、カルボン酸をα臭素化するための一連の反応をHell-Volhard-Zelinskii反応といいます。
Hell-Volhard-Zelinskii反応は以下のような流れです。
まず、PBr3とカルボン酸が反応して酸臭化物とHBrができます。このHBrが酸触媒となって、酸臭化物ののエノール化を触媒し、生成したエノールがαハロゲン化を起こすことでαブロモ臭化物になります。そして最後に、水との求核アシル置換反応によりαーブロモ酸臭化物をαーブロモカルボン酸へと変換します。
参考 マクマリー有機化学 中 第8版 p839 p840