リチウムエノラートを経由したアルキル化

リチウムエノラートをつくる塩基として最もよく使われるのは$\rm LDA$です。
これは、ジイソプロアミン$i-{\rm Pr_2NH}$と$\rm BuLi$から調製します。$\rm LDA$は低温(-78℃)でもほとんどすべてのケトンやエステルから迅速かつカンゼンに不可逆的に酸性のα水素を引き抜き、対応するエノラートイオンを生成させることができます。また、この低温条件は、反応活性種であるリチウムエノラートを十分に安定に存在させるためにも必要です。
以下は$\rm LDA$の調製法です。


ケトンやエステルからの脱プロトンは、以下に示すような環状遷移状態を経て進行します。
塩基性窒素アニオンによるプロトン引き抜きと同時に、リチウムイオンは生成した酸素アニオンへ移動します。
ケトンからの脱プロトン化→リチウムエノラート
エステルからの脱プロトン化→リチウムエノラート

以上で説明したリチウムエノラートはハロゲン化アルキルとの反応して、$\rm C-C$結合を生成します。この反応は有機合成化学において最も重要なものの一つです。

例えば、リチウムエノラートのアルキル化は以下のような反応機構で進行します。

ケトン・エステル・カルボン酸のアルキル化にはリチウムエノラートを経由したアルキル化が良い方法です。

しかし、アルデヒドはアルドール反応という競争反応を避けることができないので、アルデヒドはリチウムエノラートを経由してアルキル化することはできません。

参考)
ウォーレン有機化学 上 第二版 p605~p608

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