酸化準位

有機化学における酸化とは、炭素上の電子密度の減少のことを指す。

(例えば、酸素が炭素に付加した場合、電気陰性度の高い酸素に電子がひきつけられ、炭素上の電子密度が減少する。)

ところで、酸化準位とはその物質がどれだけ酸化しているかの指標となるもので、以下のように計算する

$$\rm (酸化準位)=(C-O、C-N、C-X結合の数)ー(C-H結合の数)$$

たとえば、$\rm CO_2$の場合、酸化準位は4となる。(二重結合は2とみなす。)

また、$\rm HCOOH$の場合、酸化準位は3-1=2より2となる。

このように、物質にはそれぞれ固有の酸化準位が存在し、計算することができる。

このとき、何らかの反応により、注目物質の酸化準位が低いものから高いものに変化した場合、その反応は酸化反応ということができる。逆に、注目物質の酸化準位が高いものから低いものに変化していればその反応は還元反応とおいうことができる。

また、反応前後で注目物質の酸化準位が変化していない場合は、その反応は酸化でも還元でもないということができる。

例)以下の反応は酸化反応か?還元反応か?それとも酸化でも還元でもない反応か?

1)

もちろんこの反応はC-X結合の開裂だけら還元反応ということができる。

しかし、一応丁寧にやっておこう。

まず、出発物質の酸化準位は1-7=ー6で、

生成物質の酸化準位は0-8=ー8だ。

よって、-6からー8の物質に変化している。つまり、より酸化準位が低い物質に変化しているので、この反応は還元反応だということができる。

2)

この反応はパッと見ても酸化か還元か判別がつきにくい。

さて、では計算してみよう。

出発物質の酸化準位は2-6=-4、生成物質の酸化準位は3-7=-4

であるため、酸化準位は変わっていない。

そのため、この反応は酸化でも還元でもない反応であるといえる。

スポンサーリンク