H30 有機化学標準

H30有機化学標準の問題はこちら



ホフマン脱離です。まず、$\rm CH_3I$を用いて、アミノ基$\rm -N(CH_3)_2$をトリメチルアンモニオ基$-N(CH_3)3^+$に変えます。このトリメチルアンモニウム基は電子求引基でありますが、脱離能はそこまで大きくないため、E1cb様E2反応により脱離します。そのため、この問題では脱離の仕方は一通りなので関係ないのですが、置換基の少ないアルケンが生成しやすいです。(Hoffmann型脱離。カルボアニオンに似た中間体を経由する進行するため起こります。)

このホフマン脱離反応は、1881年にホフマンによって報告されたものです。 ハロゲン化第四級アンモニウムを酸化銀と加熱すると、一旦水酸化第四級アンモニウムが生じた後、アルケンと第三級アミンが生成する反応です。

以下、反応です。(答えでは巻矢印や$-H_2O$などは書かなくてもよいです。)


参考
豊田 真司「有機化学演習Ⅲ」p202
また、ウェブ上の記事を2つ参照させていただきました。こちらこちらからどうぞ。



これは分子間アルドール反応の後に、分子内アルドール反応が起こり、その後、アルドール縮合が起こる反応だと思われます。特に、これはエノールシリルエーテルの共役付加反応です。エノールシリルエーテルのような安定で電化のない求核剤は$\rm TiCl_4$のようなLewis酸触媒を用いると、低温でもMichael反応受容体と円滑に反応します。また、生成物もエノールシリルエーテルができますが、酸、あるいは塩基とともに水で処理することでシリル基は容易に除去され、ケトンになります。

Lewis酸を用いたエノールシリルエーテルの共役付加の反応機構は例は以下のようになります。


以上参考
ウォーレン有機化学 上 第二版 p630

問題ではこのようなLewis酸を用いていないので加熱が必要なのだと思われます。

また、最後の脱水ははっきりどちらであるかは文献が見つかりませんでした。なので、以下の解答ではE2で書いています。また、エノールシリルエーテルがどのタイミングで外れるかはわからないというより、難しいので適当です。

という反応において、酸性度が大きく、脱離可能でかつアルコールの脱離を伴うα水素は以上の矢印で示した水素だけであるため。(一方のα炭素は四級であるため、脱離するα水素がない。)

※「位置選択性」は「立体選択性」ではないので、以上のような解答を考えました。「立体選択性」なら、Zimmerman-Traxler六員環遷移状態モデルで説明することが必要になります。

一方のカルボニル基には、メチル基が近くにあるため、立体障害が大きく、アセタール化されない。

ワインレブケトン合成によってエステルをケトンに変換し、Wittg反応によりケトンをアルケンに変換します。

1.$\rm Me_3Al , Me(MeO)NH-HCl$
2.$\rm Ph_3P^+CH_3Br^-,n-BuLi,THF$

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