ヒドラジンの製法

ヒドラジン$\rm N_2H_4$は無色の液体で、水や多くの有機溶媒に溶解し、腐食性と毒性があります。ヒドラジンはロケットの燃料や、ボイラー水の酸素除去に用いられます。

工業的にはヒドラジンはラシヒ法(Raschig reaction)により製造されます。
\begin{eqnarray}
\rm NH_3+NaOCl&→&\rm \overset{ クロラミン}{ NH_2Cl}+NaOH (速い反応)\\
\rm NH_3+ \overset{ クロラミン}{ NH_2Cl}+NaOH&→&\rm N_2H_4+NaCl+H_2O (遅い反応)\\
\end{eqnarray}
ただし、ラシヒ法ではにかわやゼラチン、のりなどを添加剤として加える必要があります。
それは、せっかく作った$\rm N_2H_4$消費してしまう副反応が存在するためです。
その反応は
$$\rm 2\overset{ クロラミン}{ NH_2Cl}+N_2H_4→N_2+2NH_4Cl$$
という反応で、この反応はCuなどの重金属が痕跡量でもあると触媒されてしまうということがわかっています。にかわやゼラチン、のりを添加剤として加える必要があるのはそれにより脱重金属化を行う必要があるためです。

また、ラシヒ法ではヒドラジンは一水和物として得られ、このままの形で多くの目的に使用されます。ただし、脱水するのは難しく、無水$\rm N_2H_4$を得たい場合は以下の直接的な方法と用いる必要があります。
$$\rm 2NH_3→[N_2H_5][HSO_4]→N_2H_4+[NH_4]_2[SO_4]$$

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