ダニエル電池の例題

例題
次のような組み合わせで生ずるダニエル電池の$27℃$における起電力は何ボルトか。
$$\rm Cu|Cu^{2+}(0.10M)||Zn^{2+}(1.0M)|Zn $$ただし、$\rm Cu^{2+}+Zn→Cu+Zn^{2+}$の反応に伴う標準ギブズエネルギー変化は$\rm -212kJmol^{-1}$であり、$\log_{10}e=0.434$、電解質水溶液の活動度係数は$1$と仮定する。

解答
電池図では、右の電極で還元反応、左の電極で酸化反応が起こるように書かれるため、この電池の電池反応式は、
\begin{array}{cccccccc}
   右の電極(還元反応)&\rm Zn^{2+} &+& \rm 2e^- &→&\rm Zn&&\\ 
   左の電極(酸化反応)&\rm Cu  &&&→&\rm Cu^{2+}&+ &2e^- \\\hline
   電池反応&\rm Cu &+& \rm Zn^{2+}&→& \rm Cu^{2+}&+ &\rm Zn\\
\end{array}
この電池反応式が示す反応量に対し、その標準ギブズエネルギー変化$ΔG^{\stst}$は問題文より、
$$ΔG=-(-{\rm -212[kJmol^{-1}]})={\rm -212[kJmol^{-1}]} $$である。このとき、仕事は
$$W=-2Fε(εは起電力、Fはファラデー定数) $$である。
このエネルギーは、反応が進むときの自由エネルギー変化$ΔG$に等しい。ここで、自由エネルギーの変化$ΔG$は活動度係数を1と仮定すると、
$$\b
ΔG&=&ΔG^{\stst}+RT\ln\f{a_{\rm Cu^{2+}}}{a_{\rm Zn^{2+}}} \\
&=&ΔG^{\stst}+RT\ln \f{[{\rm Cu^{2+}}]}{[{\rm Zn^{2+}}]} \\
&=&212×10^{3}+8.31×300×\ln \f{0.10}{1.0} \\
&=&212×10^{3}+8.31×300×(-\ln 10) \\
&=&212×10^{3}+8.31×300×(-\f{1}{0.434}) \\
&=&2.06×10^{5}{[\rm Jmol^{-1}]} \\
\e$$ であるから、
起電力$ε$は$F=96485{\rm C mol^{-1}}$を用いて、
$$\b
ε&=&-\f{ΔG}{2F} \\
&=& -\f{2.06×10^{5}{[\rm Jmol^{-1}]}}{2×96485{\rm C mol^{-1}}}\\
&=& -1.07{\rm V}\\
\e $$この電池は、電流が外部回路を左→右へ流れるので、起電力は負となる。

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