剛体回転子の分配関数

$\newcommand\q{q_{\rm rot}(T)} \newcommand\s{\sm{J=0}{∞}(2J+1)} \newcommand\rt{\Theta_{\rm rot}}$

この記事は下書きです

剛体回転子のエネルギー準位は
$$ε_J=\f{\h^2 J(J+1)}{2I}\tag1\\
J=0,1,2,…\\
Iは分子の回転モーメント$$で与えられます。そして、各エネルギー準位は
$$g_J=2J+1\tag2$$の縮退度を持ちます。
$(1)$式と$(2)$式を用いると、剛体回転子の回転の分配関数は
$$\q=\s e^{-\frac{β\h^2 J(J+1)}{2I}}\\
β=\f{1}{\k T}$$と書けます。ここで、簡単のために回転温度$\Theta_{\rm rot}=\f{\h^2}{2Ik_{\rm B}}$というものを置きます。この回転温度$\rt$は温度の次元を持っています。よって、
$$\b
\q&=&\s e^{-\frac{β\h^2 J(J+1)}{2I}}\\
&=&\s e^{-\frac{\rt J(J+1)}{T}}\tag3
\e$$このとき、$(3)$式は有限の閉じた形の式では表すことができません。しかし、水素原子を含まない二原子分子の場合、常温でも$\f{\rt}{T}$の値は極めて小さくなります。(例えば、$\rm CO(g)$の場合、$\rt=2.77{\rm K}, \ \f{\rt}{T}≈10^{-2}$となります)よって、関数の傾きの変化率が小さいので、$(3)$式は以下の積分の形に近似することができます。
$$\b
\q&=&\int^{∞}_{0}(2J+1)e^{-\frac{\rt J(J+1)}{T}}\d J\\
&&ここで、x=J(J+1)とすると,\\
&&\d x=(2J+1)dJなので、\\
&=&\int^{∞}_{0}e^{-\frac{\rt x}{T}}\d x\\
&=&-\f{T}{\rt}[e^{-∞}-e^{0}]\\
&=&-\f{T}{\rt}×(-1)\\
&=&\f{T}{\rt}\\
&=&\f{8\pi^2I\k T}{h^2}\\
&&(\rt<<Tのとき)
\e$$ となります。
また、水素原子のように、($\rt=85.2{\rm K}$)と$\rt<<T$ならない場合は、積分形式に近似できませんが、逆に、$(3)$式がすぐに0に漸近していくので、$(3)$式をそのまま使えば良いことになります。例えば、$T<<3\rt$の場合、$\q$は$(3)$式の第4項までで0.1%の精度で計算することができます。

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