$\newcommand\ddf[2]{\f{\d^2{#1}}{\d{#2}^2}}$
フックの法則は
$$F=-kx$$です。したがってニュートンの運動方程式を代入すると、
$$m\f{\d^2 x}{\d t^2}=-kt$$となります。このページではこの線形二階微分方程式を解いて、その解が、
$$x=A\cos{\left( ωt-\phi \right)}\left( Aと\phiは定数。ω=\sqrt{\f{k}{m}}\right)$$あるいは、$$x=c_1\sin{ωt}+c_2\cos{ωt}\left(c_1とc_2は定数。ω=\sqrt{\f{k}{m}}\right)$$と表すことができることを示します。
以下では、フックの法則
$$F=-kx$$を変形して行きます。
$$\b
F&=&-kx\\
m\ddf{x}{t}&=&-kx\\
&&(\because F=m\ddf{x}{t})\\
x&=&-\f{m}{k}\ddf{x}{t}\\
x\df{x}{t}&=&-\f{m}{k}\df{x}{t}\ddf{x}{t}\\
&&(\because 両辺に\df{x}{t}を掛けました)\\
x\df{x}{t}&=&-\f{m}{k}v\df{v}{t}\\
&&(\because \df{x}{t}=v,\ddf{x}{t}=\df{v}{t})\\
\it x\df{x}{t}\d t&=&-\f{m}{k}\it v \df{v}{t} \d t\\
&&(\because 両辺を時間tで積分しました)\\
\it x\d x&=&-\f{m}{k}\it v \d v\\
\f{1}{2}x^2&=&-\f{m}{k}・\f{1}{2}v^2+C_1\\
&&(C_1は積分定数です)\\
\f{m}{k}・\f{1}{2}v^2&=&C_1-\f{1}{2}x^2\\
\f{m}{k}v^2&=&2 C_1-x^2\\
v^2&=&\f{k}{m}(2C_1-x^2)\\
v&=&\sqrt{\f{k}{m}}\sqrt{2C_1-x^2}\\
\df{x}{t}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\sqrt{2C_1-x^2}\\
\f{\d x}{\sqrt{2C_1-x^2}}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\d t\\
\it \f{\d x}{\sqrt{2C_1-x^2}}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
&&ここでx=\sqrt{2C_1}\cos{θ}(★)と置くと\\
&&\d x=-\sqrt{2C_1}\sin{θ}\d θとなるので、\\
&&これらを代入します\\
\it \f{-\sqrt{2C_1}\sinθ\d θ}{\sqrt{2C_1-2C_1\cos^2{θ}}}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
\it \f{-\sqrt{2C_1}\sinθ\d θ}{\sqrt{2C_1(1-\cos^2{θ})}}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
\it \f{-\sqrt{2C_1}\sinθ\d θ}{\sqrt{2C_1\sin^2θ}}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
\it \f{-\sqrt{2C_1}\sinθ\d θ}{\sqrt{2C_1}\sinθ}&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
-\it\d θ&=&\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
\it\d θ&=&-\sqrt{\f{k}{m}}\it \d t\\
θ&=&-\sqrt{\f{k}{m}}t+C_2\\
&&(\because 両辺を積分しました。\\
&&また、C_2は積分定数です)
\e$$ したがって、
$$\b x&=&\sqrt{2C_1}\cosθ\\
&&(\because (★)式の仮定です)\\
x&=&\sqrt{2C_1}\cos{\left( -\sqrt{\f{k}{m}}t+C_2 \right)}\\
x&=&A\cos{\left( -\sqrt{\f{k}{m}}t+\phi \right)}\\
&&(\because \sqrt{2C_1}=A,C_2=\phiと置きました)\\
x&=&A\cos{\left( \sqrt{\f{k}{m}}t-\phi \right)}\\
x&=&A\cos{\left( ωt-\phi \right)}\\
&&(\because ω=\sqrt{\f{k}{m}}と置きました)
\e$$これがフックの法則の一般解です(つまり振動の三角関数)。
この式において、$A$は振動の振幅で、$\phi$は位相角といいます。
また、この式には別の書き方があり、
$$\b x&=&A\sin{(ωx+\phi)}\\
x&=&A(\sin{ωt}\cos{\phi}+\cos{ωt}\sin{\phi})\\
x&=&A\cos{\phi}\sin{ωt}+A\sin{\phi}\cos{ωt}\\
x&=&c_1\sin{ωt}+c_2\cos{ωt}\\
&&(\because A\cos{\phi}=c_1,A\sin{\phi}=c_2と置きました)\\
\e$$このように、一般解は、
$$x=c_1\sin{ωt}+c_2\cos{ωt}$$と書き換えることができます。