総合商社についてわからなかったので調べてみた

総合商社が何をしているかわからなかったので調べてみました。
ほかの業界研究についても就活メモのページで書くつもりです。

そもそも総合商社は何社ある?

おそらく一般に総合商社と認識されている会社は
三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅、双日、兼松、豊田通商の8社だと思われます。そして、この8社の営業収益の合計は実に50兆円を超えます。
そして、2019年現在のこの8社の従業員数の合計を調べてみたところ、40万人ほどでした。
つまり、つまり平均して一人当たり1億円以上の営業収益を上げているといえます。

総合商社はどうやって儲けているのか?

総合商社は商取引による手数料投資・経営からお金を得ています。

少し話はそれますが、最初の商社は江戸時代末期、坂本龍馬が勝海舟とともに組織した「亀山社中」という海運会社で、まさに、情報格差や需給格差を生かして、商取引の差額を手数料としていただく典型の業態ともいえる、貿易会社です。

つまり、最初の商社の収益源は「手数料」でした。しかし、商社は長い年月を経て巨大な自己資本を蓄えていき、なかでもひときわ大きな商社は「投資や経営」をすることでも収益を得るようになっていきます。それが総合商社です。そして、今現在総合商社は投資や経営による収益が主になっています。

次にはこれについてもう少し詳しく述べます。

中抜き(手数料)からバリューチェーン構築(投資・経営)へ

もともと、商社は先ほど述べたように、もともとは手数料が収益源でした。グローバルな商取引や膨大な数の商取引が行われるとき、取引のコストというものはとても大きくなります。最も思いつきやすいのは買い手と売り手を探すコストだと思います。それ以外にも取引してよい相手かや信頼できるかを調査したり、取引中でも絶えず相手の経営状況や財務状況をモニタリングするためにもコストが必要です。
そして、売り手と買い手にとってこの取引コストが商社に支払う手数料・マージンを上回れば取引の仲介に商社を起用することになります。
それではなぜこのようなビジネスが成立するのでしょうか。
それは、総合商社の規模にあります。総合商社には長年蓄えてきた莫大な資本や、財閥に代表される企業グループが存在します。これにより、企業同士の取引を情報・物流・金融など総合的な面で受け持つことで中抜きが成立していたのです。
しかし、近年になるにつれ、企業側も中抜きを嫌ってメーカーが自社内に商社機能を有するようになったり(個人的にキーエンスはその代表例だと思います。)、インターネットの普及によって取引コストが極限まで減少したことによって、この中抜きによるビジネスが成立しなくなっていきます。

そのため、「商社冬の時代」と呼ばれる2000年代から、総合商社は単なる中抜きからの脱却を迫られ、代わりに新しいビジネスモデルを強く意識するようになります。

それが、「バリューチェーンの構築」と呼ばれるものです。

まずバリューチェーンの説明をします。
単なる中抜きをしていたころの総合商社の活動領域は川上→川中→川下の「→」の部分のみでした。

※川上などは文脈でなにを表すかが変わってくるので、もっと厳密に定義します。ここでは原料や燃料などの資源を扱うのが川上、製造を行うのが川中、小売が川下とします。例を挙げると、原油開発が川上、石油プラントや石油製品製造が川中、ガソリンスタンドやスーパーなどの小売りが川下です。

それを総合商社自らが川上・川中・川下すべてに投資し、投資企業に、また自社の投資会社と取引をさせたりすることで、ビジネスを川上と川下を統合しようとしました。こうすることで、総合商社によるビジネスの鎖、バリューチェーンを構築し、スケールメリットなどによるそのビジネスのエコシステム全体の価値や規模を増加させることによって、キャピタルゲイン(株の値上がり益)を得たり、そもそもの総合商社自体の商取引機能(中抜き)の拡充も狙うわけです。
つまり、商社は取引の仲介者から取引の当事者になること収益を上げようとしました。そして、取引の当事者となることで、取引の仲介者としてできることが増えるのです。そのため、今でも総合商社としての商取引機能は健在です。

しかしながら、結果的には今では総合商社は投資会社と呼ばれるほど投資による利益が大きくなっています。石油や金属資源などの資源プロジェクトはどの総合商社でも大きい割合であり、エネルギー関連の部署は花形とも呼ばれています。

一方、この資源バリューチェーンへの依存は資源価格の上下による業績変動にもつながります。そのため最近では非資源への投資も大きく、総合商社は環境、新技術、IoT、デジタル、再生可能エネルギーあらゆる事業フィールドへの投資を拡大しています。

このように、総合商社の投資は、長期投資が主体で、投資先との間に商取引が生まれたり、総合商社自らが経営に参画するという点で、銀行の投資とは異なります。

参考
総合商社の動向とカラクリがよくわかる本 第4版 p28~p33
日経業界地図2020 p166.p167
四季報業界地図2020 p242,243

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