0次反応・二次反応・三次反応

$\newcommand\a{[{\rm A}]}\newcommand\p{[{\rm P}]}\newcommand\B{[{\rm B}]}$
$$\rm 2A\xrightarrow{k}P$$が一次反応の場合は
$$v=-\f 1 2 \f{\d [{\rm A}]}{\d t}=\df{\p}{t}=k\a\\
\df{\a}{t}=-2k\a\\
\a=\a_0e^{-2kt}
となります。

・0次反応
$\rm A\xrightarrow{k}P$
$v=-\df{\a}{t}=k\a^n=k(次反応ではn=0)$
つまり、$\a$に依存しないということになります。
これを解いていきましょう。
$$\b
-\df{\a}{t}&=&k \\
\d\a&=&-k\d t \\
&&両辺を積分すると\\
\a&=&-kt+C(Cは積分定数) \\
&&t=0で\a=\a_0(初期濃度)であるから\\
&&この条件を代入すると、\\
C&=&\a_0 \\
\a&=&-kt+\a_0 \\
\e $$このように0次反応の場合縦軸を$\a$、横軸を$t$としたときに一次関数になります。

・二次反応
$$\rm A\xrightarrow{k}P $$が二次反応であるとします。
そうすると、以下のようになります。
$$v=-\df{\a}{t}=\df{\p}{t}=k\a^2\tag{1} $$この時反応速度定数$k$の次元に注意しましょう。
二次反応の場合、
$$濃度・{\rm s}^{-1}=k・濃度^2$$ となるため
$$\b
k&=&濃度^{-1}{\rm s}^{-1} \\
&=&{\rm mol^{-1}} \ {\rm s}^{-1} \ \rm dm^3 \\
\e $$となります。
さて、$(1)$式を解いていきます。
$$\b
\df{\a}{t}&=&-k\a^2 \\
\f{\d \a}{\a^2}&=&-k\d t \\
&&両辺を積分すると\\
-\f{1}{\a}&=&-kt+C(Cは積分定数) \\
&&t=0において、\a=\a_0であるから\\
C&=&-\f{1}{\a_0} \\
&&になり、この積分定数を代入すると\\
-\f{1}{\a}&=&-kt+-\f{1}{\a_0}\\
\f{1}{\a}&=&kt+\f{1}{\a_0}\tag{2} \\
\e $$つまり、二次反応は縦軸を$\f{1}{\a}$することによって、横軸を時間$t$にしたグラフにおいて、傾きを$k$とする1次関数になります。
二次反応の半減期は$(2)$式に$\a=\a_0$を代入すると求められます。
$$\b
kt_{半減期}\a_0&=&1 \\
t_{半減期}&=&\f{1}{k\a_0} \\
\e$$ 半減期$t_{半減期}$は初期濃度に依存することが分かります。(一次反応では濃度は初期濃度に依存しない)

また、二次反応の生成物$\p$も求めてみます。

$$\b
\p&=&\a_0-\a \\
&=&\a_0-\f{\a_0}{1+kt\a_0}\\
&&\because (2)式より\a=\f{\a_0}{1+kt\a_0}\\
&=&\f{kta_0^2}{1+kt\a_0} \\
\e $$
また、次のような二次反応も見ていきます。
この反応の速度式はどのように成るでしょうか?

$$\rm A+B\xrightarrow{k}P $$初期濃度は$t=0において、\a=\a_0,\B=\B_0,\p=0$とします。
この反応においては以下式が成り立ちます。
$v=-df{\a}{t}=-\df{\B}{t}=\df{\p}{t}=k\a\B$
この微分方程式を解いていきます。
この式において、
xを$\aと\B$の減少量であるとすると、
$\a=\a_0-x,\B=\B_0-x$と表せるので、
$$\b
\df{\a}{t}&=&\df{x}{t} \\
\df{\a}{t}&=&\df{x}{t}
\e $$とあらわすことができます。
よって、
$$\b
\df{x}{t}&=&k\a\B \\
&=&k(\a_0-x)(\B_0-x) \\
\f{\d x}{(\a_0-x)(\B_0-x)}&=& k\d t\\
&&ここで積分するために\\
&&左辺を2つの分数の和で書き換えます。\\
-\f{1}{\a_0-\B_0}(\f{1}{\a_0-x}-\f{1}{\B_0-x})\d x&=&k \d t \\
&&この式を積分します\\
\f{1}{\a_0-\B_0}\ln{\frac{\a_0-x}{\B_0-x}}&=&kt+C \\
&&(※Cは積分定数)\\
&&初期条件を代入すると\\
C&=&\f{1}{\a_0-\B_0}\ln{\frac{\a_0}{\B_0}} \\
&&であるので、もとの式にCを代入すると\\
\f{1}{\a_0-\B_0}\ln{\frac{\a_0-x}{\B_0-x}}&=&kt+\f{1}{\a_0-\B_0}\ln{{\a_0}{\B_0}} \\
kt&=&\f{1}{\a_0-\B_0}(\ln{\frac{\a}{\B}}-\ln{\frac{\a_0}{\B_0}}) \\
&=&\f{1}{\a_0-\B_0}\ln{{\a\B_0}{\B\a_0}} \\
\e $$
次は三次反応です。
例として以下の反応を解きます。(A+B+C→Pなどももちろん考えられますが、解くのが難しいので、今回は比較的解くのが簡単な以下の反応を考えます。)

$$A+2B\xrightarrow{k}P$$ $v=k\a\B^2=-\df{\a}{t}=-\f{1}{2}\df{\B}{t}=\df{\p}{t}$
この微分方程式を解きます。また減少量をxとすると
$$\b
\a&=&\a_0-x \\
\B&=&\B_0-2x \\
\e $$となるので
$$\b
\df{\a}{t}&=&-\df{x}{t} \\
\df{\B}{t}&=&-2\df{x}{t} \\
\e $$$$\b
\df{x}{t}&=&k(\a_0-x)(\B_0-2x)^2 \\
\f{x}{(\a_0-x)(\B_0-2x)^2 }&=&k\d t \\
&&両辺を積分しますが、\\
&&ここで下の公式を用います \\
\int{\f{x}{(px+q)^2(ax+b)}}&=&\f{1}{aq-bp}( \f{1}{ap-bp}\ln{|\f{ax+b}{px+p}|}) \\
\e$$ この公式を用いると、長いですが、解析的に解くことができます。
しかし、4次式や5次式などはとてもきれいな式で表すことができません。そのため、近似法が必要になってくるのです。

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