クロマトグラフィーにおいて、固定相との親和性が高ければ高いほど指数関数的に溶出までの時間、つまり保持時間が増加します。そのことは以下の式によって示されます。
※保持時間は分配平衡定数に関係しており、かつ、その分配平衡定数 $K$ には以下のような比例関係が成り立っています。
$$K∝\exp{\fp{ΔG}{RT}}\tag1$$
ΔGは物質の固定相との親和性、Tは温度を表します これから、固定相との親和性$ΔG$が増加すればするほど、指数関数的に分配平衡定数$K$が増加し、つまり、保持時間が増加することが分かります。そのため、固定相との親和性が小さい化学種は早々に出てきたのに、固定相と親和性が大きい化学種ほど指数関数的に保持時間が増加するため、いつまで経っても溶出してこないということが起こります。
しかし、温度$T$を高くすると、$(1)$式の指数部でキャンセルが起こり、保持時間を調整することができます。(つまり、温度$T$を高くすればするほど保持時間が短くなる)
この原理を利用し、徐々に温度を挙げていき、本来ならば指数関数的に遅くなるのを、ほぼ等間隔の時間で溶出させるために用いる手法が昇温クロマトグラフィーといいます。