アルケンのオゾン分解

$\newcommand\r{\rm}$
オゾンはアルケンに環状機構で付加します。その点で、$\r OsO_4$とアルケンの反応と似ています。

※オゾンは折れ曲がった対称分子で、正電荷を持った中央の酸素原子と、負電荷を分け合う両端の酸素原子から成ります。

オゾンがアルケンに付加すると、五員環化合物ができます。これは非常に不安定で、この五員環の結合の内、弱い$\r O-O$結合と$\r C-C$結合が切断し、強い$\r C=O$結合が2つ生じ、結果、2つに分離します。

分離した直接の生成物は、上図のようにアルデヒドとカルボニルオキシドです。後者のカルボニルオキシドはやや不安定な化合物で、この混合物に非常に弱い還元剤である$\r Me_2S$、あるいは$\r Ph_3P$を加えるとカルボニルオキシドから酸素分子が除去され、アルデヒドに成ります。

つまり、アルケンにオゾンを付加させ、その後$\r Me_2SやPh_3P$を加えると、アルデヒドが2つ生成するという結果が得ることができます。

以上の反応をより詳細に描いた反応機構は以下のようになります。

step1:オゾニドの生成


このオゾニドを還元的に処理するか、酸化的に処理するかでできる生成物が異なってきます。

step2-ver1
オゾニドを還元的に処理する場合(例:$\rm (Me)_2S$)

この場合、アルデヒドが生成します。

step2-ver2
オゾニドを酸化的に処理する場合(例:$\rm  H_2O_2$)

この場合、カルボン酸が生成します。

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