理想溶液の場合と似たような温度-組成の相図を持つ液体は多いですが、著しいズレを示す重要な例も多く存在します。成分間の相互作用が混合物の蒸気圧を理想容器の値よりも小さくするように働く、つまり、$\rm A-B$間の相互作用が液体を安定化すると、相図に極大が起こります。
この場合には過剰ギブズエネルギー$G^E$が負になります。(理想溶液よりも混ざりやすい)。この種の挙動の例としては、トリクロロメタン-プロパノン系や、硝酸-水の混合物があります。相図に極小が存在するときは、混合物が理想溶液よりも安定性が低いです。つまり、$\rm A-B$相互作用が不利に働きます。この種の混合物では$G^E$は正で、(理想溶液よりも混ざりにくい)、エンタルピーとエントロピー両方の効果からの寄与があります。例としては、ジオキサン-水や、エタノール-水の系があります。
理想系からのずれは、相図に極大や極小を生じるほどいつも強いとは限りませんが、極小、極大が現れると、蒸留には重要な影響がでます。なぜなら、蒸留によって目的物を共沸混合物以上の純度にすることは不可能だからです。