α開裂とβ-開裂の違い
EI-MSにおいては、官能基が存在する場合、
というように、官能基にからみてα位炭素ーβ位炭素間やβ位炭素-γ位炭素間で開裂が起こりやすい。前者の開裂をα開裂、後者をβ開裂という。
α開裂
α開裂の一般的な反応は以下の通りである。
これからわかるように、基本的に官能基のあるフラグメントのほうが検出される。
β開裂
一方、β開裂はα開裂と異なり、官能基の無いフラグメントのほうが検出される。また、水素の転位を伴うものと水素の転位を伴わないものの2種類がある。
1)水素を伴うβ開裂(例:脂肪族アルデヒド)
こちらの例では$m/z=[M-44]$のフラグメントピークが検出される(通常偶数ピーク)。この点ではマクラファティー転位とよく似ているが、マクラファティー転位では官能基(二重結合)が存在していたほうのフラグメントが検出される点で異なる。
2)水素を伴わないβ開裂(例:脂肪族アルデヒド)
こちらの例では$m/z=[M-43]$のフラグメントピークが検出される。このように、β転位では水素の転位が起こるかどうかでフラグメントの偶奇が異なる場合もある。
マクラファティ転位についてはこちらから。