アルケンは元来求核的で、臭素のような求電子剤と反応する。
しかし、カルボニル炭素のように、アルケンが$\rm O$のような電子求引基と共役している場合、その電子求引基から離れている方のアルケン炭素(例えば以下の図で示したような炭素)は$δ+$性を帯び、求核剤とも反応するようになります。
この$δ+$性を帯びた、電子求引基から離れている方のアルケン炭素に求核剤が反応して付加する反応を共役付加といいます。
これに対して、電子求引基に直接ついている炭素に求核剤が反応して、付加する反応を直接反応といいます。
以下は共鳴付加の代表的な例です。
また、グリニャール反応剤や有機リチウム化合物は化合物は直接付加を起こしやすいですが、銅塩を加えるとクプラート$\rm R_2CuLi$になり、選択的に共役付加体を与えます。
直接付加と共役付加の違いをまとめると以下の表のようになります。
\begin{array}{ccc}
\hline
&共役付加 & \rm C=Oへの直接付加 \\ \hline
反応条件 &熱力学的支配(高温・長時間・可逆反応) &速度支配(低温・短時間・不可逆反応) \\
α,β-不飽和化合物の構造 &反応性の低い\rm C=O &反応性の高い\rm C=O \\
& (アミドやエステル)& (アルデヒドや酸塩化物)\\
求核剤の種類& 軟らかい求核剤 & 硬い求核剤 \\
有機金属& 有機銅化合物 & 有機リチウム化合物 \\
&触媒量の銅(Ⅰ) & {\rm Gridnard試薬}\\ \hline
\end{array}
参考)
電子の動きでみる有機反応の仕組み p66
ウォーレン有機化学 上 第二版 p522