当量点と終点の違いと滴定誤差

等量点とは、滴定の反応が理論的に終わった点のことです。

終点とは実験上観測される滴定の終着点(つまり、何らかの反応により、そこが当量点であると判断する点)のことです。

この当量点と終点の誤差のことを滴定誤差といいます。

例えば、Mohr法を例にとると、色が変わるためには、原理的に、中和反応が完全に終わった点(当量点)からビュレット1滴弱程度過ぎたときに、滴定終了のサインであるピンク色が呈色します。我々はそのピンクになったことを受けて滴定をやめるので、つまり、当量点からビュレット1滴弱過ぎた点が終点となります。

理想的な滴定は滴定誤差が0になることです。

例題
メチルレッドの変色範囲はpH4~6である。この指示薬を用いて$0.5{[\rm mol  \ dm^{-3}]}$酢酸を$0.5{[\rm mol  \ dm^{-3}]}$水酸化ナトリウムで滴定する。この滴定の滴定誤差を求めよ。ただし、酢酸の酸解離定数は$K_{\rm a}=1.8×10^{-5}{[\rm mol  \ dm^{-3}]}$とする。

解答
今回の滴定においては、終点ではまだ中和は終わっていない。よって、この滴定における滴定誤差は終点で残っている未中和の酢酸の割合で表される。滴定誤差を$ΔV$とすると、
$$\b
ΔV&=&\rm -\f{[HA]}{[HA]+[A^-]}×100 \\
&=& \rm \rm -\f{[HA]}{[HA](1+\frac{K_a}{[H^+]})}×100\\
&=& -\f{\rm 100[H^+]}{[{\rm H^+}]+K_{\rm a}}\\
\e$$ 上式で、終点は当量点よりも前に来るのでマイナスの符号がついてる。変色が変色範囲の中心のpH 5.0で起こるとすると、
$$ΔV=-\f{1×10^{-5}×100}{1×10^{-5}+1.8×10^{-5}}=-36(%) $$となる。

※このように適当ではない指示薬を用いると、大きな滴定誤差が生じます。本来、この滴定では、フェノールフタレインなどを使用するべきです。

参考)
無機・分析化学演習 p349 p350

スポンサーリンク